ジャージー牛って?
英仏海峡に浮かぶ小さな島「ジャージー島」が原産なので「ジャージー牛」と呼ばれるようになりました。主に乳牛として世界中で飼育されています。バターやチーズなど乳製品を多量に生産している国(デンマーク、ニュージーランド等)では、最も重要な品種です。
ジャージー牛は体格が小さくミルクの量はホルスタインの3分の2程度ですが、そのミルクは濃厚で、乳脂肪5%を超えます。また脂肪球が大きく、バターを作るのに適しています。さらに高タンパク、カルシウムやビタミンが豊富に含まれており、美味しく栄養価の高いミルクです。βカロテンを豊富に含むため、黄色味がかかる特徴があり、その淡い金色から「ゴールデン・ミルク」と呼ばれることもあります。
貴重なジャージーの牛肉
美味しい牛乳や乳製品では日本でも注目を浴びるようになったジャージーですが、その「肉」はほとんど流通していません。和牛やホルスタインと比べると体格が小さく、成長も遅いので、一言で言えば商売にならないからです。
さらにジャージーの肉の特徴として、肉色(赤身の色)が濃いことや、脂身が黄色くなりやすいことがさらにジャージー牛肉の市場での「商品価値」を下げています。
こんな理由からジャージーが「肉牛」として飼育されることはほとんど無く、ジャージーの雄は生まれてすぐに処分されソーセージなどに加工されているのが現状です。
実は美味しいジャージーの肉!
一般にはほとんど出回っていないジャージーの肉ですが、実は柔らかく、コクがあって美味しさには定評があります。
牛肉の美味しさの一つの基準となるのが不飽和脂肪酸、日本では高級肉とされる黒毛和牛の肉は不飽和脂肪酸(とくにオレイン酸)の含有量が多いとされていますが、ジャージーの肉はこの和牛に近いと言われています。
また、脂身が黄色くなりやすい特徴は、商品価値を下げる一因にもなっていますが、この黄色味は牧草由来のβカロテンによるもので、緑黄色野菜などと同じく人間には欠かせない微量栄養素のひとつです。βカロテンは免疫力を強化し、風邪など感染症の予防にもなり、最近ではガンの予防・治療にも効果があると言われています。
ジャージー牛の肉の色が濃いのは「ヘム鉄」が多く含まれるからです。ヘム鉄はからだに吸収されやすい鉄分で、貧血予防などに効果があり、特定保健用食品として用いられているくらいです。
またジャージーの肉は加熱しても水分の漏れ出しが少なく、ステーキなどにすると肉汁が多くジューシーなステーキになります。